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大学礼拝「センス・オブ・ワンダー」2018/5/30

カテゴリー:大学礼拝

【詩編19:2】
「天は神の栄光を物語り、大空は御手の業を示す。」

レイチェル・カーソン(アメリカの海洋生物学者、1907~1964年、56歳で死去)のわたしたちへの贈り物は、「センス・オブ・ワンダー」(彼女の遺作)です。1965年に出版され、最初に邦訳されたのは1991年、死後25年以上たってからでしたが評判を呼び、若い母親や幼稚園、保育園、小学校の先生たちにも注目され、50年以上たった現在も必読書として読み継がれている名著です。

「センス・オブ・ワンダー」とは、すべての子どもたちに備わっている天性で、自然界の美しいもの、未知で神秘的で不思議なものを、驚きの目をもって見つめる感性のことです。これはわたしたち大人がいつの間にか、身に着けてしまった知識や経験、常識や習慣などの既定の基準にとらわれない、物事の本質を見極める生命力の原点とも言えます。

子どもたちが生まれながらに持っている素晴らしい感性の力を、いつも新鮮に保ち続けるためには「わたしたちが住んでいる世界のよろこび、感激、神秘などを子どもといっしょに再発見し、感動を分かち合ってくれる大人が、少なくともひとり、そばにいる必要があります。」と彼女は言っています。

残念なことに、わたしたちの周囲を見回すとき、日に日に自然環境が破壊され、環境汚染が進んでいます。自然界のありのままの姿が人間の誇る科学の力によって破壊され、修復できない状況にまで至っています。レイチェルは「センス・オブ・ワンダー」を書いた数年前に「沈黙の春」を書きましたが、その中で、すでにこのことが起こることを予測し、警告を発したことにより注目されました。

子どもとともに大人がまず、自然をじっくり見つめることから始める必要があります。子どもが自然界に生きる大小の動植物に驚きの目を見張り、それに触れて歓声を上げ、喜びを全身で表現すること、また夜空に輝く月や星を見て神秘の世界に没入することなどを、大人のわたしたちもいっしょになって追体験することにより、これから新たに保育者として子どもとかかわりを持ち、触れ合っていく基本的な準備ができるのではないでしょうか。大人が保育者が、子どもに優しく寄り添うことは、子どもに安らぎと安心感と信頼感を与え、心豊かな成長を助け、出会う人々との優しい関わりを豊かなものにしていきます。

このように他の命に対する率直で優しい子どもの感性こそ、人と人、国と国の関わりだけでなく、自然界のあらゆる命の全地球的な調和のとれた平和を作り出す礎になりうるとレイチェルは信じていました。

個性豊かでいつもキラキラ輝いている感性を持った子どもたちと向き合う保育者、保護者の働きがいかに大切であるかを思わされます。自然の中に身を置いて、「天は神の栄光を物語り、大空は御手の業を示す。」(詩編19:2)のみ言葉を通して、「人間を超えた存在」を感じとることができれば、最高です。 (チャプレン 主教 大西 修)

ドクダミ

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