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大学礼拝「SNS(スマホ、ライン、ツイッターなど)では伝えられないもの」2018/5/16

カテゴリー:大学礼拝

【ルカによる福音書 5:27-32】
5:27 その後、イエスは出て行って、レビという徴税人が収税所に座っているのを見て、「わたしに従いなさい」と言われた。
5:28 彼は何もかも捨てて立ち上がり、イエスに従った。
5:29 そして、自分の家でイエスのために盛大な宴会を催した。そこには徴税人やほかの人々が大勢いて、一緒に席に着いていた。
5:30 ファリサイ派の人々やその派の律法学者たちはつぶやいて、イエスの弟子たちに言った。「なぜ、あなたたちは、徴税人や罪人などと一緒に飲んだり食べたりするのか。」
5:31 イエスはお答えになった。「医者を必要とするのは、健康な人ではなく病人である。
5:32 わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるためである。」

「スマホ廃人」(石川結貴著、文春新書)という本の中で「ママのスマホになりたい」(のぶみ作WAVE出版)という絵本が紹介されています。シンガポールの少年が書いた作文をもとにした絵本です。スマホばかり見ているママに自分を見てほしいと願う物語。自分がスマホになれば、ママに見てもらえる。だからママのスマホになりたいという切ない願いは、現代の日本の子どもたちは勿論のこと、小・中・高校生をはじめ、大人にも通じるものがあります。

SNSは現代のわたしたちにとってはなくてはならないものになりました。文明の利器としてとても便利で役立つことは事実です。スマホなどは、電車やバス、新幹線に乗ると大半の人が手にして操作しています。手にしていないと不安になるという一種のスマホ依存症になっているとも言えます。わたしも最近少しその傾向があるようです。

スマホの過度な使用は次のような多くのリスクがあると言われています。①睡眠時間不足 ②体力が落ちる ③学力低下 ④視力減退 ⑤脳機能へのダメージ ⑥コミュニケーション能力の低下。そして1日3時間使用する人は、何と1年365日のうち45 日間(1ケ月半)をスマホと過ごしていることになります。使用者の約3分の1がこれに当たります。

SNSはいろいろなニュースや情報を知ったり、連絡事項を一斉に伝達したり、音楽を聴いたり、ゲームを一人でしたりするために、大いに役立ちます。

けれども、このような状況の中で、わたしたちが一番気をつけなければならないことは、SNSでは人の心や気持ちや思いを十分に伝えることが困難だということです。機械を通して伝えることのできる事柄には限界があります。事務的な事柄であれば、十分伝えられるでしょう。心の内にある深い思いは、電子媒体では伝えられません。メールでどんな装飾文字や記号、そして絵を使って送信したとしても、それによって人の心の思いは十分に伝わらないでしょう。

もう少し進んだ方法として、ラインの動画と音声によって話せば、思いも以前よりは伝わるでしょうが、何といっても心の思いが確かに相手に伝わる最善の方法は、直接出会って、相手の表情を見ながら、対話することに勝るものはありません。

今日読んだルカによる福音書5章27節以下では、徴税人レビがイエスさまに声をかけられ、従って行った話が記されています。勿論、その時代SNSなどありませんでしたが、イエスさまはレビに直接出会い、彼の顔を見ながら愛をもって声をかけられました。レビはその声に応え、従って行き、勇気をもって新しい行動を起こしました。イエスさまの愛ある行動がいかに大切であったか、そして、レビには想像もしなかったような大きな喜びの人生が始まったことを教えています。

わたしたちは日々の生活の中でいつも出会う友人・知人に対して、SNSに頼らず、直接向き合い、声をかけ、心を込めて対話することの大切さを再認識しましょう。(チャプレン主教 大西 修)

ニーレンベルギア

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