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バイブル✝タイム ルカ通読7【2:22-38】2019/11/12

カテゴリー:活動記録

「御覧なさい。この子は、イスラエルの多くの人を倒したり立ち上がらせたりするためにと定められ、また、反対を受けるしるしとして定められています。 あなた自身も剣で心を刺し貫かれます。多くの人の心にある思いがあらわにされるためです。」(ルカ:2:34~35)

今回は、ご降誕物語に引き続き、神殿で行われたイエスの奉献にまつわる記事です。

イエスがお生まれになった40日後、当時の律法の定めに従って(出エジプト13:2)初子を聖別するために、ヨセフとマリアはイエスを抱いてエルサレムの神殿へと向かいました。

そこで二人は年老いた預言者シメオンに出会います。彼は「この人は正しい人で信仰があつく、イスラエルの慰められるのを待ち望み、聖霊が彼にとどまっていた。」(ルカ2:25)と記されるほどの人物でした。

イエスを見て、「この赤子こそキリスト!」と確信したシメオンは、幼子を抱きながら神をたたえたのでした(ルカ2:28)。

このシメオンの賛歌には二つの預言が語られています。

一つ目は「これは万民のために整えてくださった救いで、異邦人を照らす啓示の光、あなたの民イスラエルの誉れです。」(ルカ2:31,32)とあるように、イエス・キリストの誕生によって、すべての民が、神の救いを仰ぐことができるようになるという預言です。当時のユダヤではユダヤ人が救われるだけが重要でした。しかしシメオンは、ユダヤ人のみならず、闇にいる全世界の人々がイエス・キリストという光を知り、イエスを通して神に救われるのだと預言したのです。

二つ目はイエスの十字架刑の預言です。「御覧なさい。この子は、イスラエルの多くの人を倒したり立ち上がらせたりするためにと定められ、また、反対を受けるしるしとして定められています。」(ルカ2:34)とあるように、イエスの登場により旧態依然であったイスラエルの権力者や人々の悪が暴かれ、神の裁きを受けることを預言しています。さらにイエスは、反対を受けるしるしとして、その人々の罪を贖うために十字架刑に処されるというのです。

シメオンは続けてマリアに「 あなた自身も剣で心を刺し貫かれます。多くの人の心にある思いがあらわにされるためです。」(ルカ2:35)と十字架刑へとつづくイエスの生涯の艱難と、その母であるマリアの苦しみを告げています。

続いてルカは、もう一人、年老いた女預言者アンナを登場させます。女性の立場を大切にするルカならではの配慮なのかもしれません。

長い間、神殿で祈りと共に過ごしてきたアンナには、幼子イエスは光輝いて見えたのでしょう。弾かれるように近づき神を賛美する様子に、アンナ自身の喜びが見て取れます。そして彼女は女預言者として人々に幼子のことを伝えました。

私は今回、いかに人々がキリストの登場を待ち望んでいたか理解できました。アンナも「エルサレムの救いを待ち望んでいる人々」(ルカ2:38)であったからです。

しかしシメオンが言ったように、イエスはエルサレムの救いのためだけに現れたのではありません。ご自分が鏡となり、全世界の闇を照らす艱難な使命を果たされるために、この世に遣わされたのです。

お生まれになった時から、やがて反対を受けるしるしとしての十字架を背負われていたイエス。

私は今回、誕生・十字架刑・復活という経緯をたどられたイエスによって、世界のすべての人々が救われるようになったことを改めて深く感じることが出来ました。

その点でシメオンとアンナという年老いた預言者の登場は。物語のはじまりとおわりを繋ぐ重要な人物だと思います。

次回は少年イエスのお話から始まります。彼の成長と共に、硬直した世の中が前へと動き出します。様々な人々の思惑をイメージしつつ、イエスのたどられた道を学んでいきます。(Y)


ペチュニア

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