【マタイによる福音書2:13-16】
2:13 占星術の学者たちが帰って行くと、主の天使が夢でヨセフに現れて言った。「起きて、子供とその母親を連れて、エジプトに逃げ、わたしが告げるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが、この子を探し出して殺そうとしている。」
2:14 ヨセフは起きて、夜のうちに幼子とその母を連れてエジプトへ去り、
2:15 ヘロデが死ぬまでそこにいた。それは、「わたしは、エジプトからわたしの子を呼び出した」と、主が預言者を通して言われていたことが実現するためであった。
2:16 さて、ヘロデは占星術の学者たちにだまされたと知って、大いに怒った。そして、人を送り、学者たちに確かめておいた時期に基づいて、ベツレヘムとその周辺一帯にいた二歳以下の男の子を、一人残らず殺させた。
クリスマスをお祝いしたわたしたちの思いは、もう年末年始へと向かっていますが、
教会ではクリスマスの期間を12月25日から1月6日(東方の占星術の学者がやってきたことを覚える日。顕現[公現]日~エピファニーデイと言います)まで守ります。ですから,
クリスマス・ツリーなどの飾りなどもその期間飾っておいておかしくありません。日本人にはピンとこないかもしれませんが、キリスト教を背景にする国ではメリー・クリスマスとハッピー・ニューイヤーが重なっています。
さて、わたしたちはイエス様のお誕生の出来事についてはよく知っていますが、その直後のことについてはあまり聞く機会がないので知らない人もいるかと思います。今読んでいただいたところから続けて先を読んでみますと、イエス様は両親であるヨセフとマリアに守られてエジプトへと逃避行されます。それは、ヘロデが自分の王位を守り続けるため、その地位を危うくする、次の王になる可能性のある幼子の虐殺断行を逃れるためでした。
現在でも国境を越え、海を渡り、他国へ逃れる世界各地の多くの避難民の現実の姿には本当に心が痛みます。生まれて間もないイエス様もそのような避難民として、エジプトへ逃れ、そこで幼少期を過ごされたのです。誰もが想像もしなかった劣悪な環境の家畜小屋でお生まれになり、さらに生まれたばかりの幼子としてエジプトでの避難民生活をされたことは、世界の底辺で生きる人々のつらい思いと苦しい体験を共有される方として、幼子の時からイエス様が神の子として人々と共に歩まれたことを物語っています。
皆さんが4月からこの12月までの9か月の日々を振り返ってみる時、楽しく有意義な時も多かったことでしょう。でも一方では、自分の予想以上に大変で、しんどくて、落ち込んでしまう、そんなはずではなかったという経験をしたかもしれません。一見、マイナスと思われるそのような出来事を体験することを通して、わたしたちは一回り大きな人間へと成長させてもらえます。わたしの大変で、しんどくて、落ち込むような経験は、そのような思いを持っている人に対して、深い同情と共感を寄せることができる暖かな優しい人格を築き上げていくことと思います。
わたしはつらく、苦しく、しんどい思いをしたとき、いつもイエス様のことを思い浮かべます。そうするとイエス様は「大丈夫だよ。わたしが一緒にあなたのつらく、苦しく、しんどい思いを担ってあげますから。」と語りかけ励ましてくださることを信じています。
今日12月27日は福音記者使徒聖ヨハネ日という教会の祝日です。ヨハネはイエス様の弟子であり、「愛の使徒」と呼ばれ、ヨハネによる福音書を書いた人です。彼は「愛」についてたくさんのことを教え、書き記しています。「神は愛である」ことも教えています。その愛はイエス様の生き方、教えに示されています。
今年もあと4日、新しい年を、柳城が拠って立つみ言葉「愛をもって仕えなさい」の具体的実践の年として迎えたいと思います。(チャプレン大西 修 主教)
寒さに耐えるペチュニア