今年も無事に創立記念行事を終えることができました。主に感謝です。
●9時30分からは記念礼拝が体育館で行われ、渋澤一郎 理事長からは次のようなメッセージがありました。
「創設者であるマーガレット・ヤング先生から今日に至るまで、実に多くの先人達が、この柳城学院のために貢献をされています。本日はキリスト教会の暦で諸聖徒日、つまり、すべての聖人を覚える日でありまして、いうなれば日本のお盆に相当するような日ですが、この創立記念礼拝においても、私たち一堂、柳城の先人たちを思い返すのであります。
「こういうわけで、わたしたちは、このような多くの証人に雲のように囲まれているのであるから、いっさいの重荷と、からみつく罪とをかなぐり捨てて、わたしたちの参加すべき競走を、耐え忍んで走りぬこうではないか。」(ヘブル人への手紙12:1 口語訳聖書)と聖書に記されている通り、私たちは先人たちに雲のように囲まれているのです。そのような状況の中で、私たちは自分の走るべき道を忍耐をもって進もうとしています。
今日の式典の意味を、単なる思い出だけにとどめることなく、愛をもって仕える者として、それぞれの働きを積み重ねていく決意を新たにする機会にしたいものです。」
●続いて、長縄年延 学長からは次のメッセージです。
「1898年(明治31年)は戦争の時代であり男尊女卑の時代でした。創設者マーガレット・ヤング先生は名古屋市白壁の地において、この年に保姆養成所を、翌年には柳城幼稚園を開いたのです。彼女はフレーベルのキンダーガルテンを幼児教育の理想とし、大人が子どもに学びながら共に成長する環境を求めました。「フレーベルにとってキンダーガルテンは、子どもの手に取り戻されたパラダイス(荘司泰弘1999)」であったと、本学院100年史には紹介されています。
この100年史の別冊として出された『思い出』には、戦時中の生々しい記録が記されています。ピアノ試験中に空襲サイレンが鳴ったとか、焼けた校舎の壁に合格者名簿が張り出されたたとか…。名古屋市内はアメリカ軍の爆撃機によって焼野原にされ、附属幼稚園も灰になったのです。それでも、白壁にある柳城幼稚園は今もヤング先生の意思を引き継いでいるのです。
さて、1953年(昭和28年)に名古屋柳城短期大学はスタートしています。当時は4人部屋の全寮制で、一日が、祈りで始まり祈りで終わる、修道院のような環境だったといいます。初代学長ホーキンス先生はキャンパス内に住まいを構えていたこともあって、学生たちをお茶に招待していました。当時の思い出を「人生の宝物」だと記す卒業生もいます。今年の3月までの卒業生総数は7,810名で、これに保姆養成所を巣立った318名を加えれば、実に8,000名を超える卒業生数になります。さらに、附属幼稚園の卒園生を含めれば、その裾野はもっと広がるわけで、神の愛と諸先輩方のご苦労とご努力にあらためて感謝をしなければなりません。
少子高齢化が進む中、本学の役割はますます大切になってきています。これからも愛と奉仕の業に励みたいと思います。」
●10時40分からは、記念行事の第2部として音楽会「遊べる音楽」を開催しました。
本学院評議員の諸岡研史さん率いるダブルリード・アンサンブル(オーボエ2、イングリッシュホルン1、ファゴット1)による演奏会&トークショーです。演奏や楽器の紹介の後、メインイベントの一つ、モーツァルトの『音楽サイコロ遊び』が披露されました。楽譜が書かれたサイコロを振って、出た目(楽譜)の順に演奏をすると音楽が成り立ってしまうという、何とも不思議な現象でした。二つ目はバロック・ダンスの実演です。講師の手足の動きに合わせて会場全体で体験できました。背筋をピンと伸ばして優雅に舞うことを体験したステージ上の学生さんは「フクラハギが張った」と感想を漏らしていました。このダンス、良い運動になるようです。
●昼からは墓地礼拝に向かいました。チャプレンの礼拝説教は次の通りです。
「ここに眠るマーガレット・ヤング先生はカナダの宣教師でしたので、本来は布教活動が目的で来日をされています。彼女の前後10年くらいの間に約20名の宣教師が日本を訪れていますが、当時はイギリスやアメリカから大量の宣教師が各地に派遣された時代です。特にアフリカに多くが渡りました。あの有名なリビングストンもその一人で、彼に触発されて、多くの青年が宣教活動に燃えたのです。
さて、ヤング先生は来日後、女性や子どもに対する教育の貧弱な状況を見て幼児教育の道に進むとともに、「母の会」を立ち上げて、母親のための勉強会にも精を出すことになります。当時の子どもは手間がかかって役に立たない存在だと見られていました。つまり「半人前」で、大人になって仕事ができるようになって、やっと「一人前」というわけです。そこには、子どもはその年齢に応じて発達を遂げて成長するなどという考えは微塵もありません。
日本の各地にあるキリスト教系の幼稚園や保育園は、たいていは歴史が古く、その地域の社会環境を改善するために貢献してきました。柳城学院118年の歴史の中でも、多くの方がそのような貢献をされています。ここに集う私たちは、祈りを通して、そういった先人達からもらったバトンを次の世代に渡していきたいものです。」
●大いなる神の憐れみを願いつつ、119周年に向けて、神のご計画が私たちによって実現されますように。(加藤)
「 空の鳥をよく見なさい。種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない。だが、あなたがたの天の父は鳥を養ってくださる。あなたがたは、鳥よりも価値あるものではないか。」【マタイによる福音書6:26】